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*四百八十六段*<一人の人間として>2012.2.2 大雪のニュースが、連日流れている。西高東低の気圧配置が、今冬は弛むことなく、鎮座している、という感じだろうか。 気温の低さと空気の乾燥にプラスして自分の不摂生がかさなり、すっかり喉鼻がやられてしまった。 もう一ヶ月になろうとしている。発熱はまだしてないので、今回は耳鼻咽喉科の治療を受けずに治そうとしているところだ。歯痛も始まり歯科医師の診断では、体力や免疫力が落ちていることで痛みが出ることがあるとのこと、体調を整えるようにとの指導を受けた。 言われてみればその通りで、生活習慣を大いに改善しなければならない。 十年前までは、雪が降っても、車のタイヤを冬タイヤにしてあったので、車の運転には支障がなく、普通に移動していた。その前までは、金属のチェーンをジャッキアップして自分で取り付けていた。それでドライブもしていた。雪が降れば、少しファイトが出てきたものだ。ところが、ここ数年は根性が無くなった。と思ううちに今年の寒さだ。自分の感覚が、おかしいのかと思い、少なくとも自分より若い人たちに今年の寒さを訊いてみたら、一様に「寒い」と言ってくれて安心した。 オケの団員だった子が(中、高校生、大学の途中まで)、ドクターになり、大学病院の歯科医になっている。ずっと前から、歯科医になったら、自分の歯の担当をしてくれる話にはなっていたのだが、こんなに早くそうなるとは予想せず、去年から診察、治療をお願いしている。 これが、若いのに見事な歯科医振りで正直驚いた。診断、速い。そして的確。治療、速い。そして的確。天性の歯科医かと思わんばかりだ。治療の最中に寝てしまう。実に気持ちがいい。 先生と呼ばれていた教え子を逆に先生と呼ぶ。これも楽しい感じだ。待合室に、歯科医の先生が、先生お待たせしました。と呼びに来る。 1月7日、15日にオケと合唱の公演があった。若手の演奏家、これからの作曲家の紹介という目標が達成できたので、安堵した。オケのメンバーも合唱団員も、それぞれの創立以来の活動の意を踏まえて献身的に努力してくれた。音楽をやっているのも、聴いてくださるのも、人間であることの認識はいつも必要だと思う。 世界の出来事のすべての原点は、やっているのは人間だ、ということだ。 世界で、日本で、どこかの県で、どこかの地域で、どこかの会社で、どこかの組織で、人間の作るものすべてのもとは、一人の人間だ。一人の人間としてどれくらい、つまりどのように生きられるのか、これは私にとっての大きな課題になっている。 *四百八十五段*<ニューイヤーコンサート 2012>2011.12.5 2012年の年頭を飾る「女声合唱団ねむの花のニューイヤーコンサート」は、1月15日の公演になる。1月 15日といえば、13年前までは成人の日だった。今は1月の第二月曜日となっているが、元々は小正月に元服の儀が行われていたことでの昭和23年に制定の祝日だ。その名残か、私には1月15日が「成人の日」のような気がする。語呂の心地よい良い響きの日である。 どんなに時が過ぎても忘れられない邦人作曲家の合唱の名曲を取り上げるのがねむの花のアイデンティティだ。それと同時に、今の時点で作曲され、なお後世に残したいと思える作品を紹介するのもやるべきことの一つだ。その意味で、今回のプログラミングはこの二つを満たすことができた。 二つのステージで中田喜直の組曲を取り上げる。「美しい訣れの朝」が1963年の初演、「北の歌」は1967年の初演だ。二曲とも芸術祭奨励賞を受賞した。五つの曲からなる「美しい訣れの朝」を作曲者 中田喜直は「レクイエム」或いは「女の愛と生涯」を書いたと言っている。作曲されてから49年、今では取り上げられることの少なくなってしまったこの組曲だが、永遠の訣れという重い主題を回想し、語り掛け、叫び、つぶやき、時には独り言のように歌う。美しい旋律で切実な別れをあくまでも美しく表す・・・中田喜直音楽の真骨頂だ。 組曲「北の歌」は、題名通りに北海道の自然を表している。曲順は「春」「夏」「秋」「冬」だが、「春」は 晩冬を思わせ「冬」は早春を思わせる。つまり四季を通して輪廻転生を歌っている。そしてそれを私たち人間は自然の営みとして受け入れ、享受している。自然を歌い上げているのに実は人生を描いているのが中田音楽だ。奥が深い。小曲の「めだかの学校」でも「小さい秋見つけた」でも「夏の思い出」でも、大曲の合唱組曲「都会」「蝶」「アビと漁師」「ダムサイト幻想」でもそれは変わらない。 一つのステージは、いつもと同じお楽しみのソロステージとなる。団内ソリストによるニューイヤーコンサートにふさわしい寛ぎと希望にあふれるフレッシュなステージにしたい。 若手作曲家による、これからも後世に残したい曲の紹介をしよう。武智由香 作曲、女声合唱とピアノのための組曲「遠い世界に」がそれだ。2009年に組曲が完成。「クール百音」の委嘱作品であり、初演は児島百代 指揮、「クール百音」によって2009年11月23日に行われた。作曲家は村松賞、日本芸術文化奨励賞、神奈川文化賞、 未来賞などを受賞、2011年英国王立音楽院博士号授与、作品は神奈川フィルやベルリンフィル、コンセルトヘボウで演奏された新進気鋭、日本のトップランナーの作曲家だ。この曲のイメージとして、日本の合唱曲というよりも大聖堂に響くコワイヤーを意図しているとの作曲者の言葉だ。初演で名演奏を披露されている後での演奏と思えば、今回の演奏は指揮者の力量が示されるようでもあり、12声部での合唱など、小編成のねむの花には厳しい曲になる。ピアノの助けも借りながら、響きを魂の響きとして伝えたい。 ピアニスト小川万里江にどうしても触れなければならない。天才ピアニスト出現と紹介するにやぶさかでない逸材だ。研ぎ澄まされた感性とそれを伝える技術の高さは誰が聴いても分かるはずだ。他では聴けない、これがピアノだ!という音色を聴いてほしい。伴奏を超え、だが、伴奏だとも思わせる表現は誰にも真似できない。 中田喜直も武智由香もピアノには伴奏を超えた表現を望んで作曲をしている(女声合唱には必須だ)。それにこたえることのできる数少ないピアニストだ。 直近の1月20日にはこのホールでピアノソロの舞台がある。3月30日には紀尾井ホールでグリーグのピアノ協奏曲を弾く。ピアノ伴奏とは違う魅力が聴衆を虜にするだろう。 (文中敬称略) |
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